経営業務管理責任者についての質問
- 自営業と法人の役員の経験を足せば経営業務管理責任者の要件を満たすのですが?
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自営業で建設業を営んでいて、その後法人成りや別法人(建設業)の取締役になるなどして繋いで5年を満たした場合は経営業務管理責任者になりえます。
ここで注意すべきは、法人の役員は登記簿謄本で簡単に証明できますが、自営業者の場合は、確定申告書が出されているか?です。
税務署の受理スタンプがあるか?又は税理士が電子申告した控えがあるか?自営業をスタートさせた時の「個人事業の開廃業届」が出されているか?法人役員になるときに、きちんと個人事業を廃業しているか?このあたりが厳密にチェックされます。ですから、俗に言う「モグリ」で建設業を何年やっていても経験年数にはカウントできません。
これから建設業取得をお考えの方はきちんと確定申告をするべきです。
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- 常勤の証明とは?
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建設業許可を取得しようとする際に、専任の技術者や経営業務管理責任者の住所が通勤できないエリアにある場合は、常勤と判断されない場合があります。「通えないよね」という理屈です。そのため、住民票を移動させるか否かという問題が発生する場合もありえます。それ以外にも、健康保険証が正しい会社名になっているか、議事録はあるか?給与明細は?源泉徴収簿は?・・・様々な角度からチェックされます。「最も確かな常勤証明は健康保険証です」
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- 役員経験はどんな法人の役員でもいいのか?
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建設業を営んでいる(いた)法人の役員です。例えば不動産屋さんの役員経験があってもダメです。そして、建設業を営んでいる(いた)か否かは注文書や請求書の控えや工事代金が入金された通帳や、その他いろいろな資料を用いて証明してゆくのです。その他、「支配人」「役員に準ずる地位」なども役員経験と見てくれる場合がありますが、特に厳しく業務分掌規程や組織図、辞令、執行役員規程などが求められます。要件が複雑ですから、専門家にご相談ください。
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専任技術者についての質問
- 10年経験で許可を取得したいのですが?
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建設業取得には、専任の技術者を常勤させていなければなりません。専任の技術者は法が定めた国家資格を取得している、又は法定専修学校を卒業しているなどの要件があるのですが、 10年経験というものもあります。10年経験は正確には120カ月の実務経験を用いて専任の技術者要件をクリアすることを言います。10年経験は、注文書や請求書の控えや通帳などを用いて、つないでつないで証明するものですが、書類等がきちんと揃っているかが 最大のポイントになります。これから10年経験で実務経験を証明して建設業を取得しようとお考えの事業所様は、古い決算書や請求書など処分してしまわないよう十分ご注意ください。
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- 10年以上実務経験はあるのですが、以前いた会社と現在在籍している会社を合わせてなのです。
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その場合は、以前在籍していた会社から「実務経験証明書」に経験した工事を記載してもらう必要があります。現在は要件が緩和されて、以前在籍していた会社の代表印は不要になりましたが、結果以前の会社から請求書の束や、通帳などを借りる必要が出ることもあり、ケンカ別れした場合は厳しいでしょう。
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- 経営業務の管理責任者と専任技術者との関係について
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経営業務の管理責任者は法人の元役員、又は事業主であった方である必要があります(例外あり)。逆に建設業者の元役員であれば、非常勤であった方でも役員として参加してもらえば、その役員の役員経験が5年あれば、要件を満たします。専任の技術者は、役員である必要はなく、従業員で足ります(常勤の必要はあるが)。ということは、役員が経管の要件を満たしている会社は取得したい業種の資格を持つ従業員を雇用すると、業種をどんどん追加してゆくことができることになります。
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- 特定建設業の土木一式を取得したいのですが、10年経験で取れますか?
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取れません。特定建設業には「指定建設業」というものがあり、土木一式はそれに該当します。よって10年経験という実務経験のみでは取得はできません。特定建設業は複数の下請け業者を使うことが前提となっています。そのため総合的な施工技術を要するので、自らの技術力の向上と経営基盤の強化を図るため、指定建設業が定められています。
指定7業種・・・土木一式工事、建築一式工事、管工事、鋼構造物工事、舗装工事、電気工事、造園工事
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財産的基礎あるいは金銭的信用についての質問
- 当社は資本金が300万円なのですが、500万円に増資しなくてはならないのでしょうか。
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そんなことはありません。
一般建設業の財産要件は ①自己資本額が500万円以上あること②500万円以上の資金を調達する能力があることとなっています。つまり②によると、借りたお金でもよいことになります。通常は、銀行などが発行する「預金残高証明書」で500万以上預金がある(借りたお金でも)ことをもって調達能力を証明できます。
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- 特定建設業を取得するために大幅な増資をしようと考えています。
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特定建設業の要件の中に資本金2000万円以上でかつ自己資本の額が4000万円以上とあります。そこで、大幅な増資をしたとして、増資部分は登記簿謄本で証明できるので資本金2000万円以上の要件は満たす事が出来ます。しかし、決算が終わらないと純資産合計が4000万円以上になるかどうかは分かりませんから、申請が可能か否かは決算終了後に判断できるということになります。
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- 特定建設業の許可基準とは?
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まとめますと
①資本金が2000万円以上で且つ自己資本の額が4000万円以上
②流動比率が75%以上であること(※流動比率=流動資産合計÷流動負債合計×100)
③欠損の額が資本金の額20%を超えないこと
上の①から③の全てを満たさなければなりません。しかも新規だけでなく、更新の際にもチェックされます。その他に、専任の技術者はほとんどが一級を要求されますので大変厳しい要件と言えます。 では、特定建設業を必要とする場合とはどういったものでしょうか。
①建築一式工事の場合
発注者から直接請け負った一件の建設工事について、下請に出す代金の合計額が6000万円以上となる場合はその元請業者は特定建設業の許可が必要です。
②建築一式以外の工事
発注者から直接請け負った一件の建設工事について、下請に出す代金の合計額が4000万円以上となる場合はその元請業者は特定建設業の許可が必要です。 つまり、特定か一般かは、下請業者に出す金額の違いということになります。大きな工事を受注するから特定建設業が必要だというのは間違った理解で、そもそも一般建設業でも請負う代金額に上限はないため、自社が元請けで全部施工する場合は特定建設業の許可は不要なのです。下請けに出す金額が大きくなる場合に検討する許可です。
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それ以外の質問
- 許可換えとは?
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いろいろなケースがあります。
①般・特新規
一般建設業から特定建設業へ
特定建設業から一般建設業へ
一般建設業と特定建設業は許可区分が異なるため、新規申請の扱いになります。これを「般・特新規」といいます。
②許可換え新規
知事許可から大臣許可へ
大臣許可から知事許可へ
(例1)北海道知事の許可を持つ建設業者が従たる営業所を他府県に出す場合(大臣許可に)。
(例2)主たる営業所が北海道にあるが、それを他府県に移動させる場合(新規の知事許可に)
(例3)主たる営業所が北海道、従たる営業所が東京。東京の営業所を廃止して建設業を営む営業所が北海道だけになった(新規の知事許可に)
③法人成り新規
個人事業者で建設業を取得していた方が法人成りした場合(新規扱い)
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- 支店を出す場合の必要な届け出は?
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建設業を営まない支店であれば届け出の必要はありません。建設業法で言う「営業所」とは建設業を実質的に営んでいる、契約行為などを行っている営業所をいいます。法人の場合、登記上の本店は社長の自宅ということがよくありますが、それは建設業にいう営業所には当たらない場合があります。道内に主たる営業所がある法人が、道内に支店を設置して、そこでも契約行為を行うなどする場合は主たる営業所を管轄する振興局へ変更届けを提出します。
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- 社会保険加入は必須か?
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現段階では、必須ではありません。また、個人事業の場合は、社会保険加入は人数制限で入れない場合もあります。その場合は国民健康保険の保険証や建設国保の保険証を添付する場合もあります。現在、法人で社会保険未加入の事業所が新規許可取得や更新許可取得すると、社会保険に加入するよう「指導」が郵便にて来ます。
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- 建設決算を出していないのですが?
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更新が出来なくなります。
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- 営業所が未登記の場合は?
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未登記であってもそこで建設業を営み、契約行為をなしている場合は「営業所」です。賃貸借契約書や会社宛てに届いた郵便物などで証明します。
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- 会社登記が現状と一致していないのですが?
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一致させる必要があります。よくあるケースでは、役員の任期が定款では2年となっているのに登記簿謄本で確認すると任期が切れている場合、資本金や発行済株式総数などが謄本と一致しない場合、決算期がずれてしまっている場合などがそれに当たります。まずは現状と登記を合わせましょう。
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- 当社は人工貸しを長年やっていますが、建設業の許可は取得できますか?
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残念ながら取得できません。諸法により人工貸しは禁止されており、それは建設業を営んでいた(請負った)という経験にはなりません。
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- 当社は全国で工事をやりたいので、大臣許可を取得したいのですが?
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大臣許可は一般許可の上級資格ではありません。一般の許可を持っていても、全国で施工できます。ただし、大臣許可を取得し、他の都府県に営業所を設けることで仕事を受任しやすく なったり、対外的にも信用度が増すというメリットはございます。しかし、専任の技術者を複数用意するなどハードルは高いです。
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